Mick Radio Memo

名も無きオンラインラジオのお喋り&台本担当ミックの反省と、何でもないようなネタのメモ。

心の美しさが人の美しさを決める

美女と野獣」を観てきました。

軽いネタバレ含みますので嫌な方はバックしてくださいませ。

 

結論:ハードルを上げて行ったのに軽々と超えられて泣かされた。素晴らしかった。

 

▼映画業界の知人(男性)が絶賛していたので、毎日予告編や朝の風景の映像を見る程度には楽しみにしていたし、ディズニープリンセスの中で一番好きなお話だったし聞き飽きるほど聞いてるメロディなので思い出補正も掛かってる。こんなにハードルを上げまくって平気かな?と思いながらも公開日の昨日レビューを見ていたら絶賛の声が多かったけど、ひとつ気になるレビューが。

 

『ガストンがかっこよ過ぎて、魔法が解けた時の野獣にはちょっとガッカリした(苦笑)』

 

(えっ!?そんなにあのクソ野郎をかっこよく描いちゃってるの!?確かにルーク・エヴァンスはクソほどイケメンで演技も抜群だけど、ガストンを魅力的に描き過ぎて野獣の癇癪ばっかりフューチャーされてたら嫌だなぁ……)

 

と思って観に行きました。

結論→ただの杞憂だった!!そのレビューを書いた人へ『人は見た目ではない』と全編通して懇切丁寧に心に刻んでくれる作品を全く観てない感想をどうもありがとう!!確かにルーク・エヴァンスの演技は圧倒されたしガストンらしくて素晴らしかったけど見事にクソ野郎だったので原作ファンは安心してどうぞ!!最高にクソ野郎だっただからこそガストン最高!

 

▼ガストンの感想はこの辺にしておいてまずエマ・ワトソンのベル。歌声は超絶歌唱力では無いです。ただそんなものは関係無いってほどに、真っ直ぐで純粋でベルという人間が実在してるとしたらこうゆう風に歌って夢を見るんだろうなと思うほどにベルだった。それが何よりも嬉しかった。ベルに会ってみたいと思ってた小さい頃の私に会えたよって言いたかった。『変わり者』って言われて傷付いた日もあったし、今でもそうゆう風に言われて浮いてる事を自覚する日もある自分が、ベルの生き方と言葉に泣くほど勇気を貰うよ。誰かの繊細な心に触れて一緒に心を痛めたり小さなことで喜んだりすることは間違ってることでは無かったんだよ。幼き頃にアニメのベルに憧れて、大人になって新しいベルに背中を押してもらって明日を迎えられることの幸せは言葉では表しきれない。私はこのままで、私のままで一生懸命やればいいんだと、そう思える。みんなベルから勇気を貰える。

 

▼野獣役のダン・スティーヴンスは今まであんまり注目してなかった俳優さんでしたが素晴らしかったです。些細な仕草や目の動きで不安や繊細な心や孤独や優しさを表現してて、一挙一動に息を呑みました。アラン・メンケンが今回の実写にあたって書き下ろした野獣のソロ曲があるのですが、名曲です泣きました。ダン・スティーヴンスの歌声はどちらかというと少し高めで優しくて透明でこんな歌と姿を見せられて。引き込まれる引き込まれる。皆様魔法にかけられてください。

 

▼その他、ポット夫人のエマ・トンプソンのBeauty and the Beastは心に染みるし、ユアン・マクレガーのBe Our Guestはベルが笑顔になるキッカケとしては完璧だし、マダム・ド・ガルドローブのオードラ・マクドナルドの歌声は流石としか言いようのなく圧倒的だし、全てのキャストがピッタリでなんて素敵だったんだろうって。ベルの父親のモーリス役のケヴィン・クラインは一度も拝見したことが無かったんだけど素敵なほどモーリスだったなぁ。ピノキオのゼペットにも合いそうだなぁと思ったけど。

 

▼あと嬉しかったのはベルのお母さんの事にちゃんと触れてくれて、野獣の生い立ちにも触れてくれて、2人が家族というものを通じても心を通わせてくれるシーンがあったことがとてもとても嬉しかった。ベルのお母さんはペストで亡くなったのか……。
パリでは1948年後期~1949年前期にかけてペストの大流行があったことがわかっているので……。ちょうどその頃のフランス史第二次世界大戦後のフランス第四共和制の時期。第二次世界大戦終結が1945年だから、ガストンのいう戦争の無い生活の退屈をしのげないというのはその後のフランスのインドシナ植民地戦争のことだろうか……。この辺あまり詳しくないのでわからないけれど、きっとガストンはWW2には参加していたのだろうなぁと思う。そしてそんな戦火の中で、モーリスは芸術家として夢を見ていた。そんなモーリスにベルのお母さんは夢を見た。

 

あの時代は女性が勉学に励むだけで「家事をしてない!仕事をしていない!怠け者!」って言われる時代だった。そんな中で不幸だったかもしれないけれども高等教育を受けた野獣と、文学が大好きだったベルが書物という財産を通じてぬくもりを分かち合うところが素晴らしかった。
最初の朝の風景のところでベルが本を返却して、また借りたあとにテールドベルのご主人が「bon voyage~」って言う所の言い方が最高だった。本当によい旅をという心の優しさが出ていた。それでも小さな村の中で村人たちがベルを馬鹿にしていれば大きな声でベルをかばうことは出来ない。そんな時代だったのだなぁ、としみじみ。

きっときっとハッピーエンドの先もハッピーが続くだろう事を、言葉と音と空気と色が教えてくれる。ただただ輝いてるだけじゃなくてあの後の時代を生きるという事を示唆してくれる終わり方も良かった。

 

▼人は見た目では無い

人の美しさは心の美しさで決まる

言葉に表さなければ伝わらない事がある

言葉で言えなくても心を感じることもできる

人を好きになる事は純粋な事で、積み重ねていく事で愛に変わっていく

 

それはお伽話の中だけの話じゃない、明日もそうやって世界を見るときっといい日になる。

 

映画が明日を変えてくれる。心が幸せでいっぱいになる。友達も家族も、もっと大事に思える。